コラム 第2回:RoHS指令の対応について
既にご存じの方も多いと思われますが、RoHS指令は、欧州(EU)が定めたEU各国に効力を持つ指令です。
“RoHS”でWEB検索すると
・Restriction of Hazardous Substances(危険物質に関する制限)の頭文字からRoHS(ローズ、ロハス、ロース、ロス)と呼ばれています。
・電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令
などが出てきます。どれも規制についての解説が多く、調べるには困らないほどの情報量です。しかし、そのねらいや目的を素直に解説しているものは意外と少ないことに、驚きます。
目的は、特定有害物質の使用制限となりますが、これはなぜでしょう?
RoHS指令で1番目に指摘されている金属の“鉛”をあげて考えてみます。鉛の使用は2000年以上も前からのようで、その便利さや不思議さによって多用され、有害性などについては、誰もが想像していませんでした。(参考:ボンベイの写真)
実は、鉛に関する使用の制限は意外と最近のことで、そのきっかけがEUのRoHS指令だと認識しています。電気電子機器製造に使用するハンダに鉛の使用を制限したのは、ごく最近(2000年あたり)なのです。((社)電子情報技術産業協会資料より)
2012年10月よりCEマーキングの条件に入るなど、化学物質の規制は、ますます厳しくなってきています。これにより、一番困ることは指令の内容とその解釈についてです。2017年からは、カテゴリ9工業製品も対象とされています。これについては、産業機械業界からも様々な意見が出されました。何が対象となるのか?当社はあてはまるのか?など、対応への時間が少ないため、逃げの一手を考えたくなる気持ちはわかります。
本指令には除外規定があり、据付型大型産業工具、大規模な固定式設備は除外されています。
ただし、ここでも解釈の壁があります。大型とは何?据付?大規模は大型と同じ?など、聞きたくなることいっぱいです。これらについて最近になってやっと目安がだされました。この案内については、下記のURLを参考にしてください。
http://ec.europa.eu/environment/waste/rohs_eee/pdf/faq.pdf
(European CommissionのWeb Siteより)
有害物質規制は、RoHSだけではありません。毎年携帯電話の買い替えで600万台?もの廃棄物が発生しています。もちろん、回収もし、再利用も進んでいますが、まだ十分とはいえません。
当該指令は、自然界への影響を確実に減らす活動として推進されるため、将来を考え、当たり前のこととして、全分野の製品に展開されるべきだと思います。
本来は、規制の有無にかかわらず、対応していくべきであると考えております。
RoHSスケジュール:経済産業省 RoHS指令(有害物質使用制限指令) 勉強会資料より
機械安全ソサエティ(JASMAS)
電装システム部 電装2課
課長
海老原 宏満
JASMASでは、機械安全、電気安全に関連する規制事項等の情報を当会メンバーの鋭い視点で考察し、「コラム」として皆様との共有を進めて参ります。
当「コラム」に関しまして、皆様からのご意見、ご要望をお待ちしておます。JASMAS事務局までお問い合わせください。
第1回 | 改正「労働安全衛生規則」による追加された食品加工機械への対応について |
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第2回 | RoHS指令について |
第3回 | ISO14119 改正対応について |
第4回 | 保守作業における電気安全の確保 |
第5回 | 労働安全衛生法の改正 |